序章、我が人生・履歴の森[014]

◆[１４]人生序章   ・・・夏井睦著「炭水化物が人類を滅ぼす、糖質制限からみた生命の科学」より・・・詳しくは本を読みましょう ●・・・・・余談・・・・・ ◆１、ドングリの森からコムギの平原へ   このような、ドングリに依存した定住生活は約2000年続いたが、一部のヒト　（以後、人間と呼ぶことにしよう）　は、ドングリの森を離れて平地に向かった。その明確な理由はよくわかっていないが、もしかしたら、霊長類本来の遊動生活への衝動が目覚めたのかもしれないし、あるいは2000年も続いた平穏無事な生活のくりかえしに飽きたのかもしれない。   しかしもっとも直接的な理由は、ドングリの収穫量が年ごとに変動したことではないかと想像される。そこで暮らす人数が少ないうちは、多少変動しても何とか対応できるが、人口が増えてくれば、収穫量の変動は大問題となる。当然、より安定した収穫が可能な食物を求めるようになる。そしてもう一つ問題がある。   ドングリの木は、種から芽が出てから、ドングリを付けるよぅになるまでに何年もかかることだ。つまり人為的に増やす（＝栽培する）ことが、一年草や二年草のように容易ではないのだ。人口が増えたらドングリの木を増やして食糧を増やす、という手段が使えないのだ。そんな理由から、豊穣なドングリの森からふもとの平地に降りた一団がいたらしい。   もちろん、非常食であるヒツジを連れていくのも忘れなかっただろう。そして、メソポタミアの無人の平野で彼らが目にしたのは、一面に広がるエンマーコムギの自生地だった（中東には現在でもこのようなエンマーコムギの広大な自生地がある）。 ・・・夏井睦著「炭水化物が人類を滅ぼす、糖質制限からみた生命の科学」より・・・詳しくは本を読みましょう ●・・・・・余談・・・・・ ◆２、ドングリの森からコムギの平原へ   この野生種コムギは、最初、人間の食糧ではなく家畜のエサとして利用されていたと考えられている。このコムギは原種（＝脱粒性）　であり、引っこ抜くと穂がバラバラになるため、茎や葉の部分を家畜に食べさせるしか利用法がなかったからだ。   その後、何らかの理由から、コムギを人間の食用として栽培するようになるわけだが、この時代はまだ、自然の降雨に頼った天水農法であり、収量は低かったと考えられる。また、収穫したコムギを食用にするのも容易ではなかった。外皮が非常に硬くて胚乳（栄養の多くがここに詰まっている）　が脆(もろ)く、胚乳を分離しにくかった。   そして、種実に粒溝(しわ)と呼ばれる溝があって、種実から外皮を均一に除くことが困難だったことが理由だ。ヒツジならば硬い外皮も食べられるが、人間にとってこの外皮は、煮ても焼いても消化できないのだ。   そこで、ドングリの森で培った　「石臼で挽いて粉にする」　技術を応用したのだろう。コムギをまるごと石臼で挽き、あとで外皮を吹き飛ばして、粉状になった胚乳だけを得るという方式である。これが小麦粉の起源だ。現在でもコムギは小麦粉の形でしか利用されていないが、これは「コムギの外皮問題」　に対して、人類が石臼方式以外の解決法を考案できなかったことを意味している。   人類が成し得たのはせいぜい、石臼を動かす動力源を、人力から動物力、風力、水力、電力にしたことくらいである。いずれにしても、この時代から、人間の歴史は　「安定した食糧を見つける」→　「人口が増える」→　「食糧不足になる」→　「新しい食糧を見つける」→　「さらに人口が増える」・…というイタチごっこになり、それは現在も続いている。 ◆人生において人の心はそれぞれ ・・・軽部征夫著「なぜかいいアイデアが出てくる人の思考法」より   ＊人生は情報である ◆１、「拾う」と「捨てる」を同時進行する   現代人は情報の洪水の中にいる。一つひとつの情報をすべて丹念に読んで収集していたら、仕事などとてもできるものではない。新聞を例にとると、朝刊一紙だけでも、その情報のエッセンスは単行本一冊分くらいは優にある。新聞だけでも隅から隅まで丹念に読んでいたら、半日仕事になってしまうというわけだ。   こういう事実から見ると、逆説でも何でもなく、情報収集とは不必要な情報を捨てていく技術ということが言える。収集とは、捨てる作業を同時にしているのである。情報が氾濫した現代社会で肝心なのは、できる限り多くの情報に目を通しながら、その作業時間をいかに短縮するかである。   では、どのように作業時間を短縮するか。まず新聞。私は自宅と研究室で合計三紙の新聞に目を通す。ただし、読むスピードは恐ろしく速い。速いときは一紙を五分くらいで読み終える。私の読み方は、一ページ目から最後のページまで順番に開いていく。政治、経済、海外ニュースからはじまって、どのページも飛ばすことはない。しかし、見るのは見出しとリード文だけだ。   それを順番に読んでいって最後まで見たら、その中で自分にとってプラスになりそうなところとか、興味を抱いた記事だけを拾い読みする。だから、極端な場合は見出しだけ読んで終わってしまうこともある。あとは、テレビの番組欄を見るだけにしか使わない。五分で読み終わる理由はこういうことである。単行本は重要な情報源である。関心や興味を抱いた本はまとめて買って本棚に並べておく。 ・・・軽部征夫著「なぜかいいアイデアが出てくる人の思考法」より   ＊人生は情報である ◆２、「拾う」と「捨てる」を同時進行する   だいたい年間百冊ほど本を購入するが、読むときには一冊を一日のうちに読んでしまう。私の本の読み方は、いわゆる"味わう"という読み方からはほど遠い。自分に役立つ情報がある部分だけを探して読むのである。このために、まず前書きか後書きを読み、著者の意図を理解する。そして目次を見　て自分に必要な情報の記述がある部分だけを読むのである。長年続けていると、どこに必要な情報があるかをすぐに見つけられるようになる。   インターネットから情報を得る場合、いろいろなサイトを見る、いわゆるネットサーフィンをしていると、長時間コンピュータ、スマートフォンを見てしまうことが多い。だから、ネットサーフィンは「一時間限り」などと、あらかじめ決めておくのもよいかも知れない。必要な情報だけを効率的に探すには、グーグルやヤフーなどの検索サイトを利用するのがよい。知りたい情報のキーワードを正確に入力しないと情報は得られない。   必要な情報が得られない場合は、キーワードをいろいろ変えてみることである。もし知りたい情報を見つけだとしても、商業ベースの情報であったり、専門家以外の人が書き込んだ情報であったりするので、あとで別の専門書などで事実の確認が必要になる。雑誌は、一般誌と科学の専門誌、それに学術誌を購読している。   専門誌は、英文のものでは　『ネイチャー』　『サイエンス』　日本のものでは　『日経サイエンス』　『ニユー　トン』　が中心だ。これらの雑誌も、目次を見て必要な記事だけを読む。テレビは想像力を退化させると前に書いたが、テレビ番組も大切な情報源だ。科学番組は必ず録画し、再生して観るのだが、本や雑誌と同じで、早送りしながら必要な部分だけを観る。こうして時間を節約しているのである。 ・・・檜谷昭彦訳・解説「福沢諭吉・学問のすすめ」より ◆引きこもるな、積極的に交際せよ ＊引きこもりは人生の無駄遣いである   元来、人は他人との交際を喜ぶものだが、習慣次第では、交際を嫌う者も出てくる。世の中には変わった人間もいて、わざわざ山野に移り住んで、他人との交際を避けている者がある。これを隠者という。これほど極端でなくても、世間とのつき合いを嫌い、家にこもり、「俗塵を避けるのだ」と得意になっている者もないわけではない。   こうした連中の姿勢は、政府の政策に対する反発だけがその原因ではあるまい。意志が薄弱なために、物事と関わりを持つ勇気がなく、度量が狭いために、包容力に欠けるのである。人を受け入れることができないから、人もまた自分を受け入れてくれず、互いに一歩ずつ避け合っていき、ついには異類の者を見るような思いを持つ。のちには、敵同士のようになり、互いが互いを怨望することになる。このうえない不幸だといえるだろう。   また相手の人物をろくに知ろうともせずに、その言動をはたから伝え聞いただけで、自分の意見と違うときは、相手を思いやる同情心もなく、勝手を思いこみで忌み嫌う。これもその人の天性と、後天的な習慣によるところが大きい。物事を相談するとき、伝言や文通だけではまとまらないことも、実際に会って話し合えばうまく収まることがある。人はよく、「実はこういうわけだけれども、面と向かっては、まさかそんなふうにも」という。   これは人間の純粋な心情であり、相手を思いやる気くばりの一つだ。この感情が生まれるとき、まごころは通じ合い、怨望嫉妬の悪徳は消えてなくなるのである。古今に暗殺の例は数多いが、わたしは常々、こういっている。   「もし殺す側と殺される側と、両者が数日間同じ場所に起居し、互いにつつみ隠さず、その考えを話し合う機会を持ったら、どんな仇敵であろうとも、必ず和解し、そればかりか、無二の親友となることもあるだろう」と。これを思うに、言論や行動の自由を妨害するというのは、なにも政府だけに限った悪弊ではなく、民間にもはびこるものであり、学者の場合もまた例外ではない。   人生をいきいきと生きる活力は、事物に接しなければ生まれにくい。そうした交際のなかで、自由にものをいい、自由に働き、富貴も貧賎も、それは本人自身が選びとった結果であるようにすべきだ。ほかからその自由を妨げてはならぬのである。（明治七年十二月出版）