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我が人生・履歴の森[561] |
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我が人生・履歴の森[561] |
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◆神道！？ 日本に生れて日本で生活していく過程で神道を知らずして生活をしていくことは困難である。なぜなら、日本人は神道の文化を受け継がれて歴史が成り立っていて、そこで昔から日本人たちは神道をこよなく愛し市町村での行事に、日常の行動や思考や家庭での生活に浸透して神道と広く結びついているのだ。何処の市町村に行っても神社が存在して木々が生い茂る一角に社（やしろ）が置かれている。神が祀られ、その日本の古来から精神を育む神道とはなんなのだろうか。私にも正確には答えられない。そんな神道を書き綴った本があった。「日本人なら知っておきたい神道」武光誠著の内容の一部を記載してみました。この内容は「我が人生・履歴の森」に相応しいものであるかは私にははっきりと答えられないが生活するうえでは外せないテーマでもある。
◆〝神道（しんとう）〃を知らずして 日本と日本人は見えてこない ●日本人が人間関係を重んじる理由 外国人と話をすると、しばしば、「日本人は無宗教だ」といわれる。科学万能とされる現代にあっても、世界的にみれば「つねに自分が信じる神（ヤーヴエ、アラーなど）の教えに従って行動する」ことを理想として生活する人間が多い。たとえば、インドに行けば、初対面の人間にかならず「あなたの宗教はなんですか」と聞かれる。たしかに、大部分の日本人の頭のなかに、『バイブル（聖書）』や『コーラン』のような、「神の戒律」はない。しかし、だからといって日本人が無宗教で、でたらめな生き方をする集団だというわけではない。日本人の生活、ものの感じ方には、古代以来の神道が根づいている。 神道とは「いっけん宗教ではないようにみえるが、じつはよりよい人間社会をつくり上げるために不可欠な宗教」であり、かつ「人間中心の宗教」といわれるものである。日本人の多くは、神道的発想によって、つねにまわりの人びとの気持ちを考えながら生きる。そして、日本では、より多くの人に好かれる者がよい人間だとされる。だが、この評価は外国では通用しない。個人主義になれしたしんだ欧米人は、つねにまわりの様子をぅかがいながら行動する日本人を「個性のない民族」だと非難する。とはいえ、この、神道の精神を背景にした日本的なふるまいが、日本特有の義理」「人情」「おもてなし」などで結ばれたよい人間関係をつくってきたことは、まざれもない事実である。ただ、残念なことに、現代の日本において、この神道こそが、じつは日本の社会や文化を知る最大の手がかりであることを理解している人はあまりいない。大部分の日本人は、幼いころからの家庭教育のなかで、知らず知らずのうちにこの神道を身につけてきたのだ。
●なぜ神道には戒律がないのか あとでくわしく述べるように、神道では、すべての生き物が楽しくすごすありさまが、「産霊（むすび）」とよばれる最高の境地であるとされる。それゆえ、神道の考えに立つ者は、誰もが豊かに暮らせるようによい人間関係をつくるようにつとめる。このため、日本では人びとに安定と繁盛をもたらす能力をもつ者が指導者に推された。自己の気ままな贅沢を優先して、人びとに苦しみを強いた権力者は、たいてい民衆の反感をかって失脚した。それゆえ日本史上の政権交代は、よりよい時代をつくりうる者が古い体制を倒してそれに取って代わるかたちでなされてきた。「どのような行動をすれば、世の中の役に立つか」という問題は、つねにまわりの状況に合わせて考え出していかなければならない。すぐれた政治組織や諸制度であっても、時代に合わなければ、害になる。それゆえ、神道では、「固定された戒律」がつくられなかった。言葉による教えで人間を縛るのではなく、人びとの良心を信じたのである。そして私たち日本人は、『バイブル』や『コーラン』ではなく、すぐれた先人が記し多くの人びとに愛読されてきた、日本の古典のなかから生き方を学んできた。
●なぜ春と秋に祭りがひらかれるのか 古代人は、くだもの、野草、狩猟でとった獲物など、あらゆる自然の恵みを神からの授かりものと考えていた。そして、農耕がはじまったのちにも、米や麦の収穫は、人間の労働の成果ではなく、神の恵みによってもたらされたものだと考えられてきた。田畑を耕し、水をひき、種子をまくのは農民である。しかし、まいた種子を育てるのは自然の力である。この考えから、日本では春に豊作を祈る神事（春祭り）、秋に収穫に感謝する祭祀（秋祭り） が開らかれてきた。そして、この考えのうえに、日本人は自然を大切にする生き方を身につけてきた。私たち日本人は、桜が大好きである。花見のときには桜の名所がにぎわう。この花見の行事は、本来は冬が終わり桜の花を咲かせてくれた神々に感謝するものであった。 ●自然崇拝はなぜ生まれたか 「自然を大切にする考えは、人類が生まれながらに持ち合わせている本能からくるものであろうか」。この問いにたいして、私は迷うことなく「はい」と答えたいところだが、じつは問題はそう容易ではない。「日本文化は、照葉樹林文化である」と定義する学者もいるからである。それにもとづいて、次のような説明がなされることがある。温暖で多湿な日本には、カシ（樫）などからなる照葉樹林が広がっている。この照葉樹林が多くの有益な植物を生み出すので、そこに住む者は、原始的な技術を用いるだけで十分な食糧を得ることができた。縄文人は、照葉樹林のカシの実（ドングリ）やクズ（葛）の根をすりつぶして、水にさらしてデンプン （炭水化物）を得ていた。 このような豊かな土地にいたから、日本人は自然の恵みに神を感じた。しかし、生活をするのが困難な砂漠のような土地に住む人間は、自然現象を人間の敵と考えざるをえなかった。そして、そのような生存に適さない土地の人間は、人類に厳しい淀を下す一神教をつくった。砂漠地帯などの自然の脅威は永続的なものだ。それにたいして、台風、洪水、地震、噴火などの日本の天災は、一過性のものにすぎない。それゆえ、日本人はそういったものを一時的な神の怒りとして説明した。かれらは、神の怒りがおさまると、神は前にもまして自然の恵みを与えてくれると考え、嵐や雷を起こす精霊も、神として祀りあげた。日本文化を照葉樹林文化とする説に従えば、こういうことになる。こうした点をあげていくと、神道思想が日本だけに通用するものか、あるいは人類全体に通じるものかという問題が、簡単には解けないことが分かってくる。
●近代科学は神道の心を変えた 一神教のうえにつくられた西洋の近代科学は、人間の力で自然のあり方を変えていこうとする要素や、人類が便利で快適な生活をおくるためには、多少自然環境が変わってしまってもよいとする発想を含むものである。日本人も、明治維新のあと、西洋の便利な機械を手にしたために、しだいに自然に感謝する気持ちを失っていった。今日では、ダムをつくって河川の生物の生態系を崩したり、自動車の排気ガスで大気の成分を変えたりする行為が、疑問もなく行なわれている。しかし、自然を大切にする神道的な生き方を重んじてきた近代以前の日本人のあり方を思いなおすとき、私たちは科学万能の発想の正否を真剣に検討せざるをえなくなっている。
●神道と仏教の境界は？ 現代の日本では、神道と仏教とが共存している。多くの人は仏式の葬儀を行なうが、かれらはそれと同時に初詣でなどの神道の行事も欠かさない。この関係は、古代日本において形成されたものだ。六世紀のなかば、日本に仏教が伝わった。そのとき、神道とは異なる宗教にふれたことをきっかけに、日本人のあり方はしだいに変わっていくことになった。古代の支配層は、当初、神道と仏教との役割分担を明らかにしたうえで、仏教を学んだ。かれらは、稲の生育などの自然の恵みをもたらすのは、神のはたらきであるとした。そして、大陸のすすんだ技術や文明を与えてくれるのが、知識人である僧侶だと考えた。僧侶たちがもちこんだ潅漑（かんがい）、建築などの新技術も、自然のかたち、つまり、神の領域を侵さない範囲で用いられた。 ゆえに、奈良時代以前の仏教は、「学問仏教」とよばれる。日本人は仏教伝来以前に、法隆寺五重塔のような高い建物をつくる技術をもたなかった。しかし、法隆寺を訪れると、木造の法隆寺の建物が斑鳩（いかるが）の自然によくなじんでいるありさまがわかる。 平安時代はじめに、空海（真言宗の開祖）が、中国の密教を日本にもちこんだことによって、日本仏教のあり方は大きく変わった。密教僧が呪術を用いて、出世、病気回復などのさまざまな願いを叶えることができるとされたからである。これによって、自然を整えるのは神の役目で、個人的な望みを聞くのが仏の仕事だとする発想がしだいに定着していった。そして、地獄・極楽の思想が広まるにつれて、僧侶のもっとも重要な仕事は、人びとを極楽往生に導くことだとする考えがつくられていった。この流れを受けて、江戸時代に寺院が葬礼や墓地の経営を扱うようになった。
●なぜ日本人はいくつもの神に祈るのか 現代人は、一人でいくつもの神を信仰することもめずらしくない。稲荷に商売繁盛を祈り、天神に学問上達、受験合格を願い、八幡にスポーツやギャンブルにおける勝利（八幡神は本来、武芸の神である）を頼むといった具合で、いくつかの神社を巡る者が多い。これは、人びとが神にさまざまな御利益を求めることによるものだ。それゆえ、現在では信者をあつめようとして、あちこちの神社でさまざまな特色ある祭りがひらかれ、縁起物がつくられるようになった。東京の人は、鷲（おおとり）神社の酉（とり）の市に行って能事を買えば商売繁盛の願いが叶うといい、関西の人は、西宮戒（えびす）の十日戎（えびす）の祭りに行って笹を受けてくると金儲けができると考える。このような考え方は、江戸時代から広まったものだ。 神道では本来、生活の基本となる共同体単位の祭りが重んじられていた。農民は村落でまとまって土地の神をまつり、貴族は「氏」とよばれる血縁集団の神である「氏神（うじがみ）」をまつった。そして、神は人びとに自然の恵みを与えるが、個人の勝手な願いは聞き届けられないものとされた。しかし、中世に村落を超えた広範囲の人びとの行き来がさかんになると、このかたちはしだいに崩れていった。そして、江戸時代にはあちこちで「自社には特別の事項についての御利益がある」と宣伝する神職があらわれた。それによって、稲荷、大黒天などの福の神をはじめとして、疫病よげの神、縁結びの神などのさまざまな神がまつられるようになった。こういったものを流行神（はやりがみ）という。そのため、江戸時代なかばすぎには、人びとは、氏神、鎮守神（ちんじゅがみ）、産土神（うぶすながみ）などとよばれる自分が住む土地の神のほかに、個人的にまつる神をいくつももつようになった。
●神道の本来の姿とは 「自然の恵みに感謝して、自分が住む土地にあつまる多くの霊魂（れいこん・神）をもてなしてまつる」というかたちが、神道の本来のあり方であった。このかたちは、多くの神をまつりながらも、祭りの場を一ケ所にする曖昧なかたちの多神教といえるものであった。ところが現代人は、さまざまな御利益をもとめてあちこちの神社におもむく、明らかなかたちの多神教をとっている。このような信仰は、知らず知らずに自分本位のものに変わっているように思える。鎌倉に、銭洗弁天（ぜにあらいべんてん）という福の神がある。 現在では、「そこでお札や小銭を洗うと、それが何倍にもふえる」といわれ、ザルに入れたお金に水をかける人が多くみられる。しかし、その行為は本来、「金銭にかんすることで知らず知らずに犯した罪や穢（けが）れを清める」ものであった。江戸時代以降、現世利益のみを求めて神社に参詣する人びとがふえたことによって、神事の本来の意味からかけ離れてしまったのである。これから述べる神道の歴史やその本来の意味を知るなかで、勝手な御利益の追求ではない、自然と人間とを大切にする本来の神道の心を知ってほしい。
◆野山の詩歌 ●野山に親しむなら 野山の空気を悟れ
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