2003-12-03
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   関西百名山、完登の山旅から帰って来たら一通の手紙が届いていた。それは兵庫県の七種山の頂きにある雑記帳を管理している「兵庫登山会、リーダー川上茂雄さん」からのメッセージであった。

      登頂ノートは登った人
         登ってくる人の 山の友である・・・服神院

拝啓
   ようやく秋も深まり、紅葉の季節となりましたが、あなたを初め、ご家族の皆様、また友人の方々には、お変わりないでしょうか。
   さて、見ず知らずの私から、突然のお便りを差し上げる失礼を、お許し下さい。
   私は少しの風でも吹けば、飛び散る小さな小さな人数の本会の代表で１９２７年１２月１日（昭和２年）出生の白髪頭の老人で、間もなく７６歳になります。

   実は、山に登られた人々が、人生の想い出として、また、汗を流し、息を切らしながらも   自然の良さを知り、そして自然も、自分の人生も、共に大切にしてほしい・・・・・。

   私は、そんな願いを込めて、今から１６年前、七種山山頂に、雑記帳なるものを、そして標示板等も設置しました。しかし神戸から七種山までは遠く、度々訪れる事が出来ませんでした。

   １年後、登頂した時、箱もノートも取られ紛失していました。その後再度、設置してから１年後に行ったら山頂にノートが破り捨てられて、雨に濡れ散乱していました。更に３度目の設置をしてから、２年後に登頂してみると、やはり全てが紛失していました。

   ４度目の設置後の６ケ月過ぎた時、やはり紛失していました。イタズラなのか、心ない者の行為に悔しさと、情けなさが交錯し、私の心が痛む・・・・。

   阪神大震災後、５度目の設置をして、３年後の春４月、私は妻と娘と孫娘の４人で雑記帳の件は諦めて登りました。山頂に到着した私の目に飛び込んできたものは、３年前に設置したままの缶の姿があり、中には登山された人の想い出や、感想文がビッシリと詰まっていました。

   私は、家族と手を取り合い、声を上げて喜びました。正直な処、私は声がうわずり、嬉し涙を流しました。持ち帰ったノートには、８２８名の人々の記帳がしてありました。

   これだけの多くの人々が、登山した自分の姿を自分の人生に組み入れてくれたであろう・・・・・と思うだけで、私は嬉しいのです。そして更に１年後の３月２５日、降りしきる雨のなか、標識版再設置の為、単独登頂、そして   その時持ち帰ったノートには、３８６名の記帳者がありました。

   今迄の記帳者の合計１２１４名の中から、住所氏名まで記帳された人が、１３６名もおられました。私はその人全員にお礼の手紙を出しました。
   その後４月１０日夜、福崎町内の人から電話にて、七種山の標識板と雑記帳が取られて無くなっているとの連絡があり、５月５日新しく再度設置して来ました。

   尚、昨年の１月   七種滝と付近に設置の標示板５枚と雑記帳や缶の全てが紛失しているとの報告を受けましたので妻と娘の３人で、標識板と雑記帳及び木箱を作り登頂しました。しかし、その木箱も、雑記帳も８ヶ後に全てが取られました。現在山頂にある木箱は、その後再度作って設置したものです。

   １６年前から何度も取られた雑記帳のノートは、最初から現在まで毎回５冊とボールペン５本を入れていました。今年の５月、福崎町の方が登頂した時、雑記帳のノートが紛失していたので下山後ノート１冊を持って登頂し木箱の中に入れて来たとの報せを受けました。

   今回去る１１月１２日私は、雑記帳交換の為、朝４時神戸を出発   登頂し、その大切な１冊の雑記帳を持ち帰りました。その１冊のノートには、２１０名の記帳者があり、住所氏名の判明している方々が１８名おられました。その中の一人があなたさまでした。本当にありがとうございました。

   多くの人々が、家族と共にまた友人達とまた単独で急坂で、息を切らし汗をながして登られた七種山・・・・・！９合目の展望台からの素晴らしい眺望・・・・・！
   また、山頂の１０ｍ下方にある「つなぎ岩」で、肝を冷しながら、播州の美しい山波の景観を心の財産にされたあなたに私は、心よい拍手を送ります。

   そしてご自分の山旅と云う人生の一頁を記帳されたあなたに、感謝します。山を越え、谷を越え、遠くに続く一本道がある。人生と云う長い山道・・・・・!
   その道の途中で、めぐり会った(記帳)素晴らしい山の友よ・・・・・!
   国境を越え、民族を越え、自然を愛するあなたの心に感謝し、再度、微笑の大きな拍手を送ります。

   私は一人でも多くの登山者が、少しでも自然に親しみ、人を愛する心情を大切にし、平和に暮らしてほしい・・・・・と願っています。これからも幸せな人生の為に、明日を夢み新たな希望の虹を抱いて歩いて下さい。

   たそがれの中にたたずみ、振り向いてこぼしたあなたの新しい微笑みが、明日を、尚、素晴らしい人生にすることでしょう。いつも明るく、笑顔の健やかな人生である事を祈りながら、お礼の言葉とします。
 
                  2003年11月15日   兵庫登山会   リーダー川上茂雄

   野山を駆け回っていると避難小屋・山頂にとノートが設置されている山が数多くある。時間がある限り先人の書き込みを読み、小生は住所氏名を書いてから書き込みをしている。急いでいる時は住所氏名のみ記入している。

   [ノートの書き込みは［住所氏名］をキチンと書けてこそ書き込みの資格があると思う]

   [登頂は自己満足の世界だが、ノート書き込みも登頂の証明でもある]



   昔11月下旬、北アルプス・徳本峠の避難小屋で一夜を明かした時はネズミが回りにウロチョロして寂しい夜を盛り上げて、ノート全部読み切って長々と書き込みをしたり避難小屋に泊った時のカンパ金を数えて、合計金額をノートに記入した想い出がある。

  [一人ぽっちの夜の避難小屋（冬季小屋）での一時を過ごす時はノートが友となってくれるありがたいものである]

       [たわいのない事でも書き込みすると
                  山を愛して登った人と友となれる]・・・服神院


  関西百名山（山と渓谷）の近畿の大塔山1121.8mの山頂の箱の中にはノートに［漢字辞書］までいれてある。辞書まで用意されていた山は今までの山ではここが初めてであった。大塔山の［らくがき帳］はかなり古い月日まで記載されているので大切に扱われているようである。

   [みんなで大切に呼んで書き込みしてノートの友となろう]

   [山のノートは先人に登った人と、
      これから登ってくる人との愛の架け橋である]・・・服神院



   標示板やノートの設置がよろしくないと思っている人は設置した人にキチンとその説明をして民主的に解決する心構えがほしいと思う。北海道のある山でも山頂で山名の標示板を設置しても、この山には相応しくないと真冬に来て取り去って里に下ろしてしまう人がいると聞いた事がある。

   [文句があるなら正々堂々と名乗り出て真っ正面から話をしよう]



   いろいろな山々のノートを見るが、まじめに書き込みする人に、大きな字でノート一杯にホントの落書きをする人に、馬鹿野郎・とぼけ等と中傷するような書き込みも時々ある。何故まじめに書き込み出来ないのであろうか、汗をかいて喘ぎ登って来て自然の野山の素晴らしさを体で受け止めているのに、ノートには馬鹿げた事を書き込んでしまっている人は情けないと感じる。

   クシャクシャする事があるなら誰も居ないところで吠えてみろ！！
          悪口・暴言は谺して自然に消えていくだろう・・・

   書きたいなら川の水面にでも言いたい事を書いてみろ！！
          悪口・暴言は水に流されて消えていくだろう・・・